「答えろよ」 不機嫌なままそう告げたリュウは、あたしの方へと少しずつ歩み寄って来る。 答えろって言われても。 今そんなこと言わなくても良くない? 向こうに行こって言ってんのに。 人の話聞こうよ。 暑さでダウン寸前なんだってば。 うるさく鳴く蝉の声を聞きながら、あたしは小さなため息を吐いた。 「聞いてんのかよ」 「別になんとも思わないから」 じとっと見て来るリュウの目を見返しながら、あたしは淡々と言い返した。