「あたしの、ため?」



「まぁな。本当は結翔の誕生日に言って驚かせるつもりだったんだけど」



“仕方ないか”



そう言ってヒロさんははにかむように笑って見せた。



その顔からはユメさんを大事に想う気持ちが伝わって来て、あたしの心に安心感をもたらした。



「どう?これで俺の誤解もとけた?」



「とけたけど……なんでそんな大事なことを1人で決めちゃうの?」



怒った顔ではなく、今度は心配そうな表情でヒロさんを見つめ返すユメさん。



「そんな顔すんなよ……俺はただ喜ぶ顔が見たかっただけだよ。それにこれは俺の中で決めてたことだから」



「だからって……一言くらい言ってくれても」



「サプライズだよ、サプライズ」



にっこり笑うヒロさんに、ユメさんはそれ以上なにも言わなかった。



いや、言えなかった。



涙でいっぱいだったから。