ドアを開けると、目を輝かせたお母さんの顔が真っ先に飛び込んで来た。
「あら〜」
なんて歓喜の声を上げて笑顔を浮かべるお母さん。
「初めまして、妃芽さんとお付き合いさせてもらってる辰巳竜太と申します」
リュウはニコッと笑ってお父さんとお母さんに軽く頭を下げた。
「そんなにかしこまらないで下さいね。妃芽がお世話になって……こんなに遠くまでごめんなさいね」
「いえいえ、僕が勝手にしたことですから」
うわあ、“僕”だって‼
なんだか似合わない。
僕なんてイメージじゃないし。
両親を前にかしこまるリュウは、いつもと違っててなんだか新鮮。
「つまらない物なんですけど、良かったら食べて下さい」
リュウがお父さんに向かってフルーツバスケットを差し出すと、お父さんはビックリしたようにそのカゴを凝視した。
「…………」
黙り込むお父さん。
あたしはハラハラしながらその様子を見守る。
大樹も同じようにお父さんを見ていた。
「あら〜美味しそう‼気を使って下さらなくても良かったのに……でも、ありがとうね。ほらお父さん、美味しそうよ?お礼くらい言ったらどうです?」
お母さんが笑顔でお父さんの顔を見つめる。



