真新しい靴を履き真新しい鞄を持って 外へ出るための扉をゆっくり開けた。 外の世界はまだ静かで 空気が少しひんやりしている。 桜が散ってしまった桜並木は 新しい葉を身に付けていた。 ここを通るのは何年ぶりだろうか… また帰ってくると約束したあの日から 長い月日が経っていた。 同時に、 もう戻れないと思ったあの日から 1年経っていたことにも気づいた。 俺は、この街に戻ってきたんだ―――