「…おめでとう。」 彼女はただ一言、 そう呟いた。 切なく悲しそうな瞳を俺に向けて 微笑んだ後、再び席についた。 この言葉の意味を理解できるのは 俺と穂乃香以外に誰も居なかった。 だから当然のように教室がざわつく。 それでも深入りしないように 田嶋先生が質問タイムへと話題を変えた。 「澤村先生身長いくつなんですかー?」 他愛もない質問攻め。 平常心を保とうとしながらも 俺の心は落ち着かない。 「…185だよ」 俺が答える度、 女子生徒たちはきゃっきゃっ騒ぐ。 …穂乃香を除いて。