彼女はうつ向いたまま、 こちらを見ようとはしなかった。 でも、まだ顔を赤らめているのは うつ向いていても分かった。 ―――… そして、現在。 一つの現実を突き付けられた 俺は彼女を見つめたまま、 教壇の前で硬直してしまった。 あまりにも異様な光景に 教室がざわつく。 「澤村くん…?」 田嶋先生の声に呼び戻されて 俺は我に返った。 そうだ、今は…先生なんだ…。 OFFになりかけたスイッチを切り直し、 俺は最後の生徒の名前を呼んだ。