世界を滅ぼしかねない魔王に嫁いだお姫様。








「…ギルがそんなに、人に入れ込んむなんて、今までになかった。」



「……入れ込む?」



ミラは、特に入れ込まれた覚えはなかった。
それどころか、噛まれたり、いじめられたりした覚えしかなかった。



《全然、そんなことないのに…、》



ミラが不思議がっていると、ラギドがふいに立ち上がり、首筋の跡をなぞった。



「――…ッ、」



ミラがよけようとした時、もう片方の手で肩を抑えた。



「なにをっ…!」


「この跡、」



ミラの言葉を遮り、ミラの首筋の手を上下にすべらせた。


「……や、めッ、」


ミラが、力なく抵抗すると、ラギドは笑いながら言った。



「…これは禁術だ。失敗すると、術者が命を落とすことになる。」



そう言ったラギドは、少し悲しそうだった。