ミラが固く目をつぶった瞬間、部屋の扉を誰かが叩く音がした。


「……チッ、」


ギルが舌打ちしてそちらに目を向けたとき、一瞬、腕を抑えていた力がゆるみ、その隙にミラはギルをすり抜け、扉まで走った。



「ギルー、ギルー、いるんだろ?お楽しみのとこ悪いけど……って、おっと。」


ミラは勢いよく扉を開け、なにやら扉の外にいた人物の影に隠れた。


「……ギル、」


その相手が哀れみの声でギルの名を呼んだ。

よくよく見れば、先ほど大広間にいた、金髪の少年だった。背が高く、耳にはピアスがじゃらついていた。