「……遅い。」
正面玄関を入ってすぐの、漆黒の大広間の玉座に腰を下ろしていたギルが、さっきから何度目かわからない、呟きをもらしていた。
魔王ギルはミラを迎えに、使いを出させたのはいいが、帰りが遅いのでいらいらしていた。
「そんな怒んなくても、いつかは来るって。」
ギルの側近にして、幼なじみのラギドが派手なブロンドの髪のを揺らし、笑っていた。
「……クソッ、」
ギルのいらいらが限度に達し、玉座を立ち上がった瞬間、玄関のドアが空いた。
「ギル様、大変遅くなり申し訳ありません。只今、ミラ様をおつれしました。」
