「――……ッ」 ミラが何か言葉を発する前に、少年は指を鳴らした。 すると、森の入り口が歪んだ。 「ミラ様、どうぞこちらへ。」 感情のこもっていない笑顔で、ミラの手をとった。 「待って、あの人…。」 ミラは馬車の運転手が、あのままではいけないと少年にいった。 すると少年は、運転手の方に片手を向けた。 そこからまた歪みが発生し、馬車の運転手は、馬車ごとその歪みに吸い込まれていった。