「まだ冷えてるよ、 あんたの体」 ラーメン屋を出て 再びてろてろと 歩いている途中、 ふいに邦男が そう言いながら 私の二の腕をつかんだ。 その手のひらの熱さで 私は自分の体の 冷え具合を知る。 「ほんとだ。 ご飯食べたら、 だいぶあったまったと 思ったんだけど」 答えながら私は、 (ここにいると 思い込んでたから。 からっぽになった 気がしてるから、 すかすかするんだ) と気づいていた。