「え?よく聞こえなかったんだけど もう一度言って?」 私はシャワーを止め、母に尋ねた。 「グスッ・・・」 「・・・・・・!?」 母が、洟をすする音が聞こえた。 どうしたの、と聞こうとした時 一瞬早く母は言った。 「娘子ちゃんの彼氏さん、 殴ってくるわ!!」 「えぇ!!?」 私は仰天した。 母の涙声と、口に出した言葉 その両方に。 ぴちょん・・・ シャワーから水滴が落ちた。 ぴちょん・・・ また一粒。 私は深呼吸をして、 お風呂のドアの向こうにいる 母に尋ねた。