ふくらはぎの女(ひと)【完】


「そりゃまあ・・・そうかも知れないけど
・・・ねぇ」

困ったようにつぶやいた叔母が、

ちらりと私を横目に見た。

右目の端っこでその様子を捉えながらも、

私は叔母にも母にも

同意する気になんてなれず、

黙って母の言葉の続きを待った。

「潤一郎さんはね、

たぶんとっても心が弱い人。

だけどそれを頑張って克服しなくちゃって

深く思い悩んでしまうくらいに、

とても真面目な人なのよ。

繊細過ぎるの。

それはもちろん長所でもあるし、

短所でもあるわ。

だけどそんなの、誰だって同じじゃない。

紙一重とか表裏一体って言うでしょう?」

今度は祖母までもがふむふむと小さく頷き出す。