私はぽかんと口を開け、 母の言葉を聞いていた。 はっきり言って、母が去年 ようやっとの事で 潤一郎と離婚した時、 私は飛び上がって喜んだものだ。 ろくに家にも帰って来ない。 たまに帰って来たかと思えば 必ず大酒を飲んでいて、 それはもう気持ちよさそうに わおわおと吠える気の弱い犬。 あの人は、そんな父親だったもの。 あの人は、そんな夫だったのに?