私は当時十六歳。 アルバイト先のファミレスに 手芸店店主からの電話が入り、 大慌てで病院へ向かった。 ペダルを踏み漕ぐ両足の力が、 情けない程入らなかった。 暗闇の坂道を、 それでも必死に漕ぎ続け、 涙の玉を目印のように 来た道すべてに落としていった。