「はい」

教科書を渡すと、

「さんきゅ!」

ぽんぽん・・・と、私の頭を撫でる。

これ、蛍のクセなんだよね・・・

「あ、そうだ」

蛍の顔が近づいてきて、

「悠矢に好きな人ができたらしいよ」

そう耳打ちした。

誰だろう・・・

亜紀かな?

「・・・蛍は、好きな人できた?」

「さぁ。どうかな」

「おい!教室でイチャイチャすんなよ!」

いきなり春が入ってきてそんな事を言った。

「はは。しょうがないなぁ、春は」

そう笑いながら“じゃ”と短く言って

教室に帰ってしまった。

「桜、あんたって・・・」

亜紀は呆れた、という顔でこっちを見てた。