あの花が咲く前に①






「きゃっ。」


天野が 小さな悲鳴をもらす。


「あ。わりぃ。

 だって・・・あまりにも

 焦ってるからさ。大丈夫か?

 体調悪いとか・・・?」


「え。違うの違うの。ただ・・・。」


「ただ?」


「ううん。なんでもない。

 あの。だから要件を言うとね?

 アドレスと電話番号を・・・

 交換・・・してほしいの。」


「なーんだ。それだけ?」


「それだけって・・・大きなことでしょ!」


「いや。

 もっと深刻な話なのかと思っちゃって。

 よかったその程度の話で。」


俺は にっこり笑った。