まだ肌寒さの残る4月。

「早くしなさい!全く、入学式早々寝坊なんて・・・」

「わかってる!!」

今日は高校の入学式。

あたしは見事に寝坊してしまった。

あたふたと真新しい制服に着替え、スカートの丈を調節する。

やっぱり、短すぎちゃ先輩に目つけられちゃうよね。

「ふざけたことしてないで、さっさと準備しなさい!」

お母さんの怒鳴り声が家中に響く。

「もぅ、わかったってば!!」

あたしは膝の少し上までスカートを折り、メイクにとりかかった。

マスカラ、アイライン、チーク・・・と軽くメイクをすませ、リビングに向かう。

「ほら、早く行くわよ!」

お母さんにせかされ、急ぎ足で家を出て、車に乗り込んだ。

「なに、そのメイク。高校生なんだからまだメイクなんてしなくていいのに・・・」

お母さんがぶつぶつと文句を言ってくる。

あたしはそれをまるっきり無視し、ケータイをとりだした。

「あーあ、ゆかりと同じ高校がよかったなぁー」

昨日ゆかりから来たメールを読み返し、ため息をつく。

本当は、小1から親友のゆかりも、あたしと同じ高校を受験する予定だった。

でも、3か月ほど前、急に親の転勤が決まり、新しい家の近くの高校を受験してしまった。

「仕方ないでしょう、転勤なんだから。あんたがゆかりちゃんと同じ高校受験すればよかったんでしょう」

「だって、片道3時間だよ!どんだけ早起きしろっつーの・・・」

あたしはもう一度ため息をついた。

「よかった、間に合った。さっさとおりなさい。体育館集合でしょう」

お母さんが安堵の息を漏らした。

駐車場に車を止め、急いで車を降りる。