あたしが愛した人

数秒止まって、ふいっと顔だけ振り返った。






「ありがと。」

ニッと笑い、私の頭をポンと叩いた。





その姿は、道路を走る車のライトや街灯・建物の明かりで逆光になってキラキラ輝いていた。




私は、漫画や映画の1シーンみたいに思えて、思わず見とれてしまった。






違うよ、渡邊蒼。
お礼を言うのは私の方だよ。
違う。
あんたは…私をかばって…





前がぼやけて、頬に涙が流れた。