あたしが愛した人

「大丈~夫!俺結構鍛えてっから。」




(嘘だ…)

声がかすれ、顔に青アザができてる。
口元には血の跡が付いてる。



「いいよ無理しなくて…。救急車呼ぼうか?」


「いい!いい!いい!そんな大した事やねーし。」


「でもっ…立てるの?」


「ははっ任せろ!」




渡邊蒼は平気そうな笑顔で言った。
足を動かすと「ウッ…。」と呻き、ゆっくり、ゆっくり、立ち上がった。




「おぉー立てた。やっぱ俺の骨丈夫やなぁ。」

笑いながら言うその顔は、私は無理しているようにしか思えなかった。