「・・・だから、私は翔君と付き合ってほしいと思ったの。私は翔君のことは好きじゃないわ。全部、全部!音々のためよ!」
最後に割れた試験管の破片は彩の手を赤く染めていった。
「・・・ね?いいでしょう。黙っててあげるから。お互いに有益なほうを選びましょうよ。あなたも困るんでしょう?」
「話がよくわからない。私、教室戻るね。」
「・・・っちょ、そのだ・・・美月!!」
最後に呼ばれた名前にも振り向けなかった。
私はこんがらがる頭を振り切って教室までの廊下を走った。
「おい、地味子がすごい勢いで走ってくるぞ!」
「みんなどけえええ!」
廊下で授業をさぼっている男子の声は私の耳からスルーされました。