「失礼します。」
スタジオに入るともうカメラアシスタントさんたちが準備をし終わって椅子に腰かけていた。
とりあえずいつものように挨拶をしながら歩いていく。
そして、カメラアシスタントさんたちの影に見え隠れた明るいブラウンのアップの髪。
「茜さんっ!」
私の声に振り向く茜さんは厳しい目をしていたけれど怒ってはいなかった。
「傷、上手に隠せているわね。さすが春の弟、翔だわ。」
うんうん、と厳しい顔で評価していく。
「話は撮影の後。さ、気張って行ってきなさい。」
「はいっ!」
茜さんは笑顔で見送ってくれた。
やっぱり、厳しい人だけどいい人。