固い意志。
俺にはそんなものはない。
容姿が整っているって言うだけで周りの大人や女からちやほやされて...
いつも周りに人がいない状況なんてなかった。
でもそれをこいつや美月みたいに生かそうなんていう考えはなかった。
「もし、翔くんとの関係のことで美月のせっかくのデビューのチャンスとドラマをめちゃくちゃにされたくないんだ」
俺にも関わってくるしね、と付け足したそいつ。
「だから、美月から手を引けと?」
「さすが、いいのは顔だけじゃないみたいだね」
庶民の俺。
モデルの美月。
一緒に学校に通って、テストを受けて、放課後デートして、恋人らしいことして...
そんなこと最初から出来るわけなかった。
時間だって合わないし、学校にもろくに来れないし...