「ええ、知らないの?真実のリンゴって言ってね。最近流行なのよ」



「真実のリンゴ?」



私の問いに大きく頷いた茜さん。



「自分の抱いている疑問を問いかけながら食べると心の中にその答えが自然に浮かび上がってくるっていう不思議なリンゴなのよ」



「...なんか白雪姫に出てくる魔女みたいな言い方だな」



「やだ、玲央ったら。そんなんじゃないわよ。本当か嘘かは私も分からないんだけど...」



私の手の中でコロンと転がる小さなサイズのリンゴ。



私の問いたい疑問?



「美月最近浮かない顔してるでしょ。だからあげるわよ」



「茜さん...」



私が浮かない顔の理由。


それは...わからない。