「では、これからよろしくお願いします」
「ええ、こちらこそ。玲央はもちろん美月ちゃんもね」
私たち二人の前でお辞儀をする監督さん。
ドラマなんて初めてで監督さんを目の前にするのも新鮮だった。
私なんかで本当に主役が務まるのかな...
「じゃあ、今日は挨拶程度で明日から本格的に仕事に打ち込んでもらうからよろしくね」
「「はい」」
そして、監督さんから渡された分厚い冊子。
「これって...」
「そうそう、台本だよ。これを機に一人前の女優になれるといいね」
60前半くらいの監督さんは人の良さそうな笑みを浮かべながら嬉しそうに席を立った。
明日から...
撮影。
学校も行けないんだろうな。