私の方をじっと見つめ 「・・・また。」 少しうつむき気味に そう言うと 私の手を離し椅子から立ち上がり 並木道を歩き出した。 私は彼が見えなくなるまで その後ろ姿を見つめていた。 家に帰ると 彼の最期の言葉だけが頭の中で ぐるぐると輪廻する。 「・・・また、か。」 名前も知らない人、 『また』があるのかはわからない。 それでも、期待に胸を膨らませ ベッドに潜り込み まぶたを閉じる。