俺様と闘う私『一部・完』

 はぁ……ダメだ。


 奴の前だと私、どんどんヤな女になりつつある。


 苛立ちを募らせながら私は奴を見ると、意外にも奴は真剣な表情を浮かべていて



 「疲れが、取れそうなモン」



 トン……


 左片肘をドアに立てて、手の平で顔を支えながらそう言った。



 そのせいでちょっと体が傾いたのと、初めて落ち着いた『普通の』対応をしてくれたお陰で真正面から瞳が合った。




 偉そうな態度。


 傲慢な言いぐさ。




 ムカつくとこばっかりだったんだけど―――この眼は。


 こんな眼は、反則だと思う。




 そう言いたくなるくらい、綺麗に澄んだ濃いグレイだった。



 なんでも見透かしそうなくらいの、美しいグレイ。



 一瞬、見惚れそうになった……というより見惚れてた。


 不覚にも。


 けれど



「どれだ」



 そう問う声で、現実に戻った。



 一瞬、見惚れたことと顔を赤くしてしまったのを隠したくて



 「こ、コレ」



 客商売とは思えないほどの、奴と同じくらいぐらいにぶっきらぼうに答えてしまった。