俺様と闘う私『一部・完』

 「あなたは!! 母が何かしたって言うんですかっ!?」

 「いえ、そうではないですよ」

 「じゃあ、その質問はなんのために!?」



 久しぶりに、自分でも信じられない剣幕だって分かるくらいに憤り、声を荒げる。



 「御堂さん、とりあえず座って話しましょう?」



 あくまで丁寧で、でも冷静なオジサン。


 もう私には警察官というよりも、対オジサンだった。



 怒りの目で睨みつけ、でもそれを切り返す目も引く気はないのが分かる。


 分かってる。


 素人が俄かギレしたって、プロには目に勝てるわけなんてないと。


 けれども、まるで母が何かしたのではないかと匂わせるような質問が、私には許せなかった。


 でも……



 「理香ちゃん。いいのよ。嫁姑間になにかあるかなんて、普通の人でも疑うことなんだから。あなた、座りなさい」



 今まで震えていたことがまるで嘘のように、しっかりとした口調で母は私を諌めた。



 「―――ハイ」



 私は、その母の強さに『あぁお母さんだやっぱり』と思って大人しく座った。



 座ったのをジッと6つの目で見届けられ、居心地の悪い私は俯いた。



 一方母は、



 「お義母さんの介護をしてはきましたが、特段の問題もなく普通に過ごしてきたと思います」



 と簡潔に話し、それを聞いたオジサンも



 「分かりました」



 とだけ返答して、じゃあ……と若手の人に合図をして今まで話したことを、簡単にまとめて調書を作成された。



 そして、最後の締めの前に



 「今回、おばあさんを引いた相手は逃走中ですが、そのことに対してどういうお気持ちですか?」



 と尋ねられ、




 「許せません」




 私は俯いていた顔を上げて、強くそう答えた。