俺様と闘う私『一部・完』

 突然、室内の空気を切り裂くように響いた音。


 その音に気を取られて、あーだこーだと言いあいをしていた二人も口を閉じた。



 そして、私の背中には嫌な汗がジワリと流れ出た。


 瞬時に握りしめた手の中も、やたらと滑りを帯びている。



 「あ、すみません……」



 かろうじてそう断りを入れながら、私は立ち上がってふらふらと音のする方へ向かい鞄を探した。


 場所はクローゼットの中の様だ。


 私は、吹き出し続ける汗に対する違和感を感じながらも、どんどんと身体が冷えていくのを感じた。



 時刻は7時を過ぎたころ。


 外は暗くなっている。


 この時間の電話。



 楽しい軽快なメロディが流れるのは友達のモノ。


 ピリリリリッと、何の飾り気もない。



 けれど着信音としてはとても大きな音で響くこの音。



 この着信音にしている人物は一人。




 ―――お母さんだ。