俺様と闘う私『一部・完』

 あぁ? 

 待て、だぁ!?


 私は犬じゃないっつーの!


 人間なんですってば!!



 普通、初対面の人間に「待て」の一言で呼びとめる奴がどこにいるわけ?


 と思いながら、すでに奴の言葉に慣れつつ……


 ―――否、我慢が出来るようになった私は、なんとかブチ切れを1線に留めて若干の笑顔を浮かべて(もちろん引きつっている)振り返った。



 ―――いや、嘘です。



 確実に睨んでたと思います。




 その顔で振り返った。



 そして、そのひきつった顔の私を見ながらニヤっとした奴は



 「まぁ、来い」



 と宣(のたま)った。


 来い、とな……!?



 いや……『待て』で、人を呼び止めた奴が今さら丁寧に私に声をかけるとは思えない。




 ここでキレるのは早計だ。



 私は、何を言い出すつもりなのかと苛立ちを募らせつつも奴の後について歩く。


 ある程度予想はしていたけど、渡辺さんちのお隣……つまり奴は2002号室の住人だった。



 やっぱり―――



 ていうか、ムカつくんだけど、こういうとこに住めるコイツがっ!!



 とは思うものの、仕事とかできるんだろうなーってのはなんとなく感じる。



 あーでも、こんな偉そうな奴だし絶対独り暮らしに違いない。


 となると家広いのに可哀想な奴だよね。



 ―――あぁ哀れ。ぷくくっ。