こんなはずじゃなかった。
茉央と別れて佑衣ちゃんの家に向かって俺の気持ち全部伝えるつもりだったのに。




ガチャ。




扉が開く。




「なんだよ。何で戻ってくるんだよ」




「お客さん連れてきたわよ」




茉央の隣に立っていたのは佑衣ちゃん。




「な、何でここに・・・」




「櫂に会いたくてここで待ってたんだって。健気だよね」




「・・・帰れよ。2人とも帰ってくれよ」




「ひどいなあ。さっきまであんなにあたしを求めて激しく抱いたくせに」






佑衣ちゃんの前で告げられた言葉。
1番聞かれたくなかった。




ごめん。
俺、もう君に何もしてあげられないんだ。




「・・・・本当なの?」




「そうよ。あたしのことが好きだって散々・・・」




「やめろよ。もういいだろ?俺はこんな男だってわかったんなら早く出てけよ」





俺の言葉に涙を流して出て行く佑衣ちゃん。




俺、君のこと泣かせてばかりで傷つけてばかりだな。




もうこんな俺は忘れて。
憎んで嫌いになって好きだったことも
忘れてくれればいい。




でも俺は忘れないよ。
佑衣ちゃんのこと。



真っ直ぐな言葉も笑顔も
可愛いとこも全部覚えてるから。