胸を押されて離れる影。



今日ようやく見た彼女の顔は涙でグシャグシャになってた。



髪型、今日はハーフアップにしててやっぱり可愛い。





「・・・やっぱり自惚れさせて突き落とすんじゃない。最低。・・・でもそれでも好き。大好き。あの日泣いてる櫂くんを見てすごく気になって近づいて話ができて短期間だったけどすごく大好きなの」




「・・・・ごめん」





俺に大好きなんて言うなよ。



決心が鈍るだろう。


そんな真っ直ぐに気持ちをぶつけるなよ。また抱きしめたくなる。




「・・・私を好きにはなってくれませんか?」





「・・・ごめんなさい」


そのまま走り去る佑衣ちゃん。



傘も差さないで泣きながら俺の前から
消えてった彼女の姿を俺はただ後ろから見てることしかできなかった。




追いかけられなくてごめん。
風邪引いたらごめん。




大好きに応えてあげられなくてごめんな。