姉ちゃんはずっとこの言葉に苦しめられてきたんだ。




俺よりも8つ上でいつだって優しく俺のことをずっと大事に思ってくれてた姉ちゃん。





結婚式のときに最高の笑顔で俺に言ってくれた。




「櫂の幸せをいつでも願ってるよ」




俺の幸せより自分の幸せを願ってたら
こんな辛い思いしなかったかもしれないのに。





瑞穂だって父親がいないなんてこともなかったかもしれない。





なんで姉ちゃんがこんな辛い目にあってあいつらはのうのうと暮らしてるんだろう。





不倫なんてするくらいなら結婚なんて
しなかったら良かったんだ。





姉ちゃんの1番綺麗な時期を独り占め
して捨てるくらいなら。




「かいーっ。遊ぼう。みじゅボールポンする」




コロコロっと転がってきたボールをまた転がすと嬉しそうな瑞穂。




瑞穂、俺はお前のパパ役になるからな。