「仕事上、どうしても、

やらなきゃいけない仕事がある。

子会社をきったり、契約を打ち切ったり…

いい事もするが、

こうやってやりたくない仕事も、

この右手でやらなきゃならない」



「・・・」


冬美は、真剣な眼差しで、

オレを見つめ、

話に聞き入っていた。


「でも、左手は、汚れを知らない。

愛する者に触れるなら…

汚れを知らない、この左手で触れたい、

そう思った…だから・・・

冬美に触れる時は、この左手じゃなきゃ、

意味がない」


そう言ったオレは、

左手で、

冬美の頬に触れた。

・・・

冬美は、

その左手を、

愛しそうに、優しく両手で触れた。