「分かりました。

でも、最後に一つだけ、お願いが」


・・・

喫茶店を出たオレは、

冬美を見つめそう言った。

・・・

冬美はオレをまっすぐに見つめた。

その顔は、

美羽そのものだった。

・・・

「・・・ひ、秀明・・さん」

・・・

オレは、

冬美をひしと抱きしめた。

美羽と重なる彼女を、

美羽と思いたかったのかもしれない。


・・・

「こうやって君に触れるのは、

君と話をするのは、これが最後です。

だからもう少しだけ・・・」


「・・・」

冬美は、抵抗を止めた。

ただ黙って、抱きしめられていた。