仕事が終わり、自宅に帰ったのは、午後11時。

・・・

加藤さんは、食事の用意をし、

先に休んだようだ。

10時を過ぎても帰らないときは、

休んでもらうよう、言ってある。

・・・

オレは食事には手を付けず、

二階へと急ぎ足で上がっていった。

・・・

寝室のドアを開け、

オレは愕然とした。

・・・

どこにも、

冬美の姿はなかった。

ベッドは整頓され、冬美の荷物も、

一か所にまとめられていた。

・・・

重い足取りで中に足を進めていく。

一番の奥の書斎にカバンを置こうとした時、

デスクの上に、紙が一枚。

『お世話になりました。荷物は早いうちに、

取りに行きます』

・・・

オレはその紙を握りしめた。