男と女のよくある恋愛事情【短篇】


【男】



独りになった部屋で、今は淡々と生活をこなしている。


今の所、振り返る幸せはない。


土曜日の夜は少しセンチになるのはしかたがない。


彼女の好きだった『苺大福』を、せつなくほうばっては見たが、やはり甘いものは得意じゃないな……


見慣れない土曜日のTVはやはり面白くもない。


半分が白紙になったこれからの人生……
また新しい色で塗る事が出来るのだろうか?


同じ価値観で仕上げる、一枚の絵を書く人に出会う事が出来るんだろうか……?


切り取られた幸せな過去と一緒に、この日携帯から彼女のメモリーを消した。