もっと早く逢えていれば良かった〈昴side.〉

「病室に戻らないの?」


「あ…戻ります」



結構流されやすいタイプみたいだ。

近づいてきた彼女の左手首を見る。

"水無瀬綾乃"

この子が俺の患者だった。



「名前、なんて言うの?」



分かっていながらも自己紹介は大事だと思って尋ねた。



「普通、自分から名乗るものじゃないですか?」



常識人というかツンツンなだけか。



「あぁ、確かに」



惚けるように言って仕方なく自己紹介をした。