綾乃のいる教室。
授業中のはずなのに騒がしかった。



「綾乃ちゃん、しっかりして!!深呼吸しよ!!」



そんな涙架の声が聞こえてきて廊下を走った。



「どいてください!!」



何の躊躇いもなくドアを開けた。

顔色の悪い綾乃をすぐに見つけた。



「お兄ちゃん!!」



涙目の涙架が隣にいた。

綾乃も俺の存在に気付いたらしく、声をかけてくる。



「綾乃、喋るな!!」



キミが消えてしまうんじゃないかと思うと怒鳴ってしまう。
でも、それほど愛しているから。



「いいか、絶対喋らないこと。意識はちゃんと保つこと」



そう言ったばかりなのに、すぐに反応が無くなった。



「綾乃ちゃん⁉︎ねえ、聞こえてるよね?」



必死に声をかける涙架。

脈のリズムが崩れていく。



「すぐ病院向かうから。涙架も来て」


「うんっ」



零れそうだった涙を拭って後ろに付いてきた。