【短編】花火




伝えられなくて、でも諦めることもできない。




「空き教室でふたり、後夜祭で打ち上げられる花火を一緒にみるとむすばれるらしい」



そんなとき、このジンクスが私の耳に入った。



「杏奈、私はあんたがずーっとあいつを好きで苦しんでいた事を知ってるから強くは言わないよ?


でもさ、今の状態をずるずるひきずってても杏奈は絶対幸せになれない。」



私にそれを教えてくれた親友は、私より苦しそうな顔をして言った。



「倉田くんのこと、ちゃんと考えたら?」


「……うん」



私は倉田くんに告白をされた。



倉田くんは頭がよくて運動もできて優しい、という非の打ち所がない男子だ。



私は彼をただのクラスメイトとしか見ていなかった事に対しての言葉だったんだと思う。



正直、今私の気持ちはぐらぐらと揺れていた。



倉田くんは優しい。



「君があいつを好きだって事は知ってる。


でも、その上で俺を好きになって欲しいんだ」



そう言った倉田くんの顔が浮かぶ。



つらい顔をした親友の顔が浮かぶ。







私は、あきらめた方がいいのかもしれない。