走って

  走って

    走って



終わりが見えないように感じる長い廊下を、ただひたすら走る。









             花火









私と翔(かける)は幼なじみだ。



親が高校の大親友で家も隣同士の私達は、それこそ生まれたときからずっと一緒にいた。



私が翔に恋心を抱いたのはきっと極自然のことで。



でもそれを伝えられないのもきっと当たり前のことで。



幼なじみは一番近くて一番遠い、恋愛対象外。



今まで、くだらない、って鼻で笑っていたよくあるフレーズが私にのしかかる。



まるで物語のようにベタな展開におちてしまった私は、でもこの状況を脱する勇気なんて持ち合わせていなかった。