あの子






「かいくん、今日クラブは?」


リュックを背負ったひよりは、クラブ棟の建物から目線を外さず俺に問いかけた。


「軽音部なんて、週2で十分だ」

「……なんでバスケ部、入らなかったの?」


ひよりが、目線を外した。

かわりに、俺と目が合う。


クラブ棟から、


バッシュのスキュール音が聞こえた、


気がした。



「……んなの、俺が汗水垂らしてやるスポーツじゃねえ」

「軽音は、スポーツじゃないよ」

スパッと、切れ味の良いナイフのような言い方。

ああそうだった。

ひよりは、嘘をつかれたら怒るんだった。


「…………お前と一緒にいれねぇから」