神無き世界





「よ…っと」



抱きかかえるために邪魔になった食材がいっぱい入った袋を置く。




あー、小指が痛い。


こんな重たいものを小指に掛けるんじゃなかった。




はぁ、と内心溜め息を吐きながら奥の部屋に進む。


自分の部屋だ。


黒を基調とした質素なつくりの部屋。




ベッドに“彼女”を寝かせる。




「この仔……」



一度も顔を見ていなかったが見てみれば驚いた。



艶のある漆黒の長い髪

長いまつげ

ぷくりと主張する艶やかな唇

白磁器のような白く綺麗な肌


目を閉じた姿は正に『眠り姫』。





「こりゃ……アイツ以上の顔した人間だな」



つか、人間か?


少々『完璧』すぎる容姿に疑念が生じる。




「……まあ、とりあえず何か作ってやるか」



頭をぼりぼりと掻きながら部屋を後にした。




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