彼女の愛すべきドビュッシー

僕は彼女に花束を渡そうと、

演奏が終わるとすぐ控室に行った。

でも彼女はいなかった。

ドレスのまま

外に出ていた。

「何してんの?

 寒いよ。」

彼女に僕のジャンパーをかける。

「ありがとお。

 あー、

 最高に気持ちよかった。」

「これ、

 花。」

「え?

 ほんとに?ありがとう!!

 きれい。

 修君が選んだの?」

「うん、まあ。」

「いい匂い。」

「すごかった、

 ありあちゃん。」

「修君はガッチガチだったね。」

「うん。

 もお記憶ないもん。」

「あはは!

 最初はそんなもんでしょ。」