「とりあえず、その千尋って人が何物か判明しただけ良かった。
取って食われないように気をつけてよ!?」
「はい!!でわ、行って参ります!!」
あたしはなるちゃんに敬礼をすると、靴箱の前で別れた。
30分早く登校しただけなのに、誰一人ともすれ違わない静かな廊下。
元々学校に来るのは早い方だしな。
そりゃ、誰ともすれ違わない訳だ。
あたしは生徒会室の前で一端足を止めるが、すぐに扉を押し開け中に入る。
「失礼しま~す」
そう言ってみるも、もちろん誰も居るはずは無く、なんだか虚しくなる。
コンコンーーー
千尋の部屋をノックしてみるも、なんの反応もなく
「本当は、ここに住んでるなんて嘘なのかも…」
あたしは静かにドアノブを回した。
