「いやあの…、詳しいとまではいかないけど、古文は好きです!!
春は、あけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは 少し明りて紫だちたる雲の細くたなびきたる。
ーーとか、冒頭だけなら結構知ってます」
あたしは、枕草子の冒頭の始めを読み上げた。
古文が好きだと知ったら、きっと許してくれるはず。
中学の時に必死で覚えた甲斐があった。
あの努力は無駄じゃなかった。
あたしは恐る恐る、吉成ティーチャーを見上げる。
すると、キラキラしていたはずの吉成ティーチャーの瞳がウルウルしているではないか。
「天宮…お前…」
吉成ティーチャーは、あたしをじっと見つめたまま動かない。
先生、そんなに見つめられるとドキドキします。違う意味で。
