入学式から半年が経ち、学校生活にも慣れ、
同じクラスにも友達が出来た。
私の学校へ行く楽しみは唯一の数学。
そう、入学式の日に見とれたあの先生は
数学の助手的な先生だった。
この頃の私に非常勤なんて言葉知らなかったけど
今思えば、非常勤講師だったんだろう。
数学の授業になれば、わからない生徒の側へ行き
教えてくれる。
それを嫌がる人は、たくさんいたけれど
私はその時がたまらなく好きだった。
そしてその日の数学の授業。
「おい、何を書いてるん?今何の授業?」
プリントに歌詞を書いていた私に沼倉先生は
後ろからやって来てそう言った。
「あ、ばれた?数学嫌いやもん。」
「嫌いでも、やらないともっとわからんくなるで?」
「すでにわからんから~」
そんな可愛くない生徒だった。
