これは、チャンスかもって。
そう思ったら美味しく作ろうと
精一杯頑張った。
自分で食べれないから味見はしてないけど
学校で配られた袋に入れて
職員室まで。
なかなか勇気が出ない私を
陽菜が背中を押してくれたんだよね
「ほら!授業から戻ってきた!早く!」
「え、無理やってーーーー」
「無理じゃない!大丈夫!」
そんなやりとりをしてる間にも
先生は近付いてくる。
きっと何にもしらないだろう。
「あ!先生?これ、今調理実習で作ったマドレーヌ!
食べれたら食べて!」
言うだけ言って逃げるかのように去った私を
追いかけてきた陽菜。
「ちょっとーなんですぐ逃げるん~」
「恥ずかしすぎて無理やって!」
今となってはただの思い出なのに
この頃の私には一大イベントのように
大きな出来事だった。
