魔女と狐男




「行ってきます、千州さん」


いずれ、人間社会に出なくてはいけない。



中学まで、私を育ててくれている

千州さんと暮らしていた。




高校生からは、自分の正体を隠し

人との関係を持て。





私は、千州 憂(せんしゅう うい)



私は魔女だ。





本名も親も知らない、誕生日も知らない。





私は、人間じゃない。

人間を騙して楽しむ、それが魔女という私の正体だ、と
昔から千州さんに教わってきたのだ。







義務教育はきちんと学校へ行っていたが、

人との関わりは全く無くて、友達はできなかった。




私は関わってはいけない、と小さいながらに思っていた。






でも、千州さんはこのままじゃいけない、という。





新しい高校生活の幕を上げた。