不思議の国の河野くん


昼休み、ご飯を食べてすぐに図書室へ行った。



さすがに図書室を使う人は少ないが


わりと大きくて、机も結構多くて本もたくさんある。



そして静かだった。





まずは、おもしろそうな小説を探す。


たくさんある小説をジーっと見ていたら、


不思議の国のアリス


が目にとまる。




名前を知ってる程度で、あまり深く読んだことはないので
読んでみようと思った




相変わらずひとけが全くない図書室の窓際の机で



ボーっと外を眺めることにした。








「福くん」


河野くんの声がした



パッと目を開けると、前には知らない人が真顔でこっちを見ている。




いや、ほんとに誰だこのイケメンは。



黒髪で、ファイル○ァンタジーとかのCGキャラにでもいそうな

綺麗で繊細な顔立ち。


イケメン様。



めん食いの私にはたまりませんなあ




「福くん」


「え…誰?て、ていうか福くんって呼び方やめて…」



イケメンは、相変わらず真顔のまま


「わからないのか?」


と不思議そうに聞いてから、
隣の椅子に置いてあったのか鹿の被り物を取り出す



それを被って



「河野悠希、15歳。もう少しで16歳の男の子だよ」


「うっそぉん!?河野くん!?」



腕を組んだまま、河野くんは

だから河野くんだと言っておろう、と言ったけど





何より



こんなイケメンなのに、鹿の被り物してる何てもったいなさすぎ。


というか

これが俗に言う




残念イケメンか